保安防災・労働安全衛生
三菱ケミカル株式会社
基本方針
三菱ケミカルは、前年度の実績や活動状況を反映して年度目標、年度方針と重点施策からなる活動計画を定め、保安防災と労働安全衛生に取り組んでいます。
保安事故・労働災害の防止、重点施策
- ■ 安全活動の徹底と継続
- 安全の基本行動、操作を徹底するとともに、工事・作業について安全な手順および必要な保護具の着用、変更管理、リスクアセスメントの確実な実施、事故労働災害の再発防止や類似災害防止のための情報活用などに取り組んでいます。
事故、または地震などの自然災害が発生した場合に、事業所内で迅速に対応し、事業所周辺地域への影響や被害拡大を防止するための体制を整備するとともに、防災訓練等を実施しています。 - ■ 設備管理の徹底と継続
- 事故や労働災害を未然に防止するため、設備の経年による劣化度を正しく点検・評価し改修するとともに、日常点検の確実な実施により設備の異常兆候を早期発見し適切に対応しています。
- ■ 人材の育成(安全をすべてに優先する人の育成)
- 自分で考え、正しく判断し、行動できる人の育成をめざし活動しています。また、リスクアセスメントの充実のため、リスク評価の専門知識と技術を備えた人材の育成に積極的に取り組んでいます。
- ■ 安全文化の向上
- お互いに声をかけ合い全員で実施する「MCGグループ 安全の基本行動」など、「相互啓発型」の組織をめざして取り組んでいます。また、各拠点の特徴を網羅的に把握するため、拠点ごとに全従業員を対象に安全文化に関するアンケートを行い、第三者機関で解析する安全文化診断を3年毎に受診し職場の弱み改善に取り組んでいます。
TOPICS:「MCGグループ 安全の基本行動」定着への取り組み
三菱ケミカルおよびそのグループ会社では、「MCGグループ 安全の基本行動」を全従業員が徹底して実施するため、啓発の取り組みを推進しています。
ポスターやデジタルサイネージの掲示などを通じ、基本行動の定着のための取り組みを継続しています。
リスクアセスメントの実施
三菱ケミカルは、プロセス、設備、運転、作業、工事、化学物質等についてリスクアセスメントを実施し、保安事故、労働災害の防止に努めています。リスクアセスメントは、保安、安全、環境、衛生面のリスクを抽出、評価しリスク低減対応を行っています。定常時だけでなくトラブル対応時などの非定常な状態におけるリスクも抽出するなど網羅性を上げた取り組みをしています。また、各種変更に伴うリスクを確実に低減するために、変更を抜けなく抽出する仕組みや、専門知識をもった技術者のもとでのリスク評価などの変更管理を実施しています。
自主保安の高度化
三菱ケミカルの茨城、東海(三重)、岡山の3事業所は、高圧ガス保安法における保安レベルの高い事業所として経済産業大臣の認定を受けています。これらの事業所は(1)保安管理や保安検査組織の整備、(2)PDCAサイクルによる保安システムの継続的改善、(3)リスクアセスメントの実施、(4)教育訓練の実施など、高圧ガス保安法の認定に関する要求事項に合わせた仕組みを構築し保安レベルを継続的に改善しています。
さらに近年は、テクノロジーの革新的進展(IoT、BD(ビッグデータ)、AI、ドローン等の非連続的技術革新)、災害の激甚化・頻発化、大規模地震発生リスク、プラントの経年化、保安人材の枯渇などの環境変化と社会課題に対応するため、スマート保安を推進しています。最新のDX(デジタルトランスフォーメーション)を活用し保安管理レベルをより向上させ、集められたデータに基づいて人がより高度な判断ができることを目指し積極的に取り組みをしています。
TOPICS:複数部門による合同パトロール、課内パトロールの実施
三菱ケミカル三重事業所では、専門保全の視点を学び、自身のパトロールに活かしたいとの要望から設備管理部門と運転管理部門との合同パトロールを実施し、異常兆候の早期発見につなげています。また、担当設備の経験差からの得意、不得意分野を補完し合うため、現場パトロールでの点検ポイント、変化点確認方法等のノウハウを明確化し共有する課内パトロールも展開しています。これらの活動により、一般社団法人日本化学工業協会から、保安管理レベル向上の取り組み(基盤整備・設備安定化・人材育成)が他の模範となる取り組みと評価され、2020年度にはレスポンシブル・ケア賞(RC賞)の優秀賞が授与されました。


作業環境管理
三菱ケミカルとそのグループ会社には、特定化学物質や有機溶剤などの取り扱いや、暑熱下の作業、騒音作業などの労働衛生上の配慮を要する業務が存在します。これらの業務に従事する従業員の健康障害を防止するために、法律や各種ガイドラインおよび独自に定めた規則に則って作業環境測定を継続的に行い、作業環境を管理しています。また、特殊健康診断の実施や産業医などによる職場巡視の実施、化学物質リスクアセスメントによるリスク低減を実施するなど各種労働衛生施策に取り組んでいます。
人材育成の取り組み
三菱ケミカルは、従業員それぞれの業務や階層に応じた教育計画を作成し人材育成に努めています。
製造現場で業務する運転員には、基本的な行動や操作および禁止事項を遵守できる人材に育てるための教育訓練を行うとともに、教育で得た知識を現場で活用できる工夫をしています。さらに、保安事故や労働災害などを疑似体験できる施設を利用した体験教育を行い、危険に対する感性を高めています。
また技術スタッフに化学工学などの教育や、自部署のプロセスの安全性検討へ参画させる取り組みなどを実施し、化学物質・反応に対する専門知識、リスク評価手法を習得したプロセス安全技術者の育成を進めています。
TOPICS:VR技術を使った教育
三菱ケミカルの製造拠点では、VR(Virtual Reality:仮想現実)を使った教育・訓練システムの導入を進めており、墜落や巻き込まれなどの事故をバーチャルで体感することで危険への感受性を高めてもらい、労働災害防止につなげています。またVRにより、現地での作業手順の確認(バルブ開閉等)、工具の取り扱いや作業姿勢などの基本的な動作の訓練が可能で、運転員育成に大いに役立つことが期待できます。
三菱ケミカル岡山事業所では、VR危険体感教育システムを運用しています。従来の安全実技体験の機材では体感できる項目は限定されるため、危険を再現、疑似体験できるVRシステムを導入しています。
全従業員へ順次体感させ、危険への感性のさらなる向上に努めていきます。



三菱ケミカル三重事業所では、教育の向上のため、VRを使ったプラントの原料フィード停止時の緊急処置訓練装置を作成し、活用しています。現地の実際の映像を使用して、緊急処置時のバルブ開閉等の対応方法を学ぶことができます。訓練を受けた従業員からは「空いた時間に一人で学習できる」「正解、不正解がわかるので正しい操作が身に付く」「レベルに合わせた訓練が可能」と評価されており、時間にゆとりも生まれ、教育の加速につながるものと期待しています。

事故・自然災害への対応
三菱ケミカルは、事故・自然災害の被害拡大防止のためさまざまな対策を実施しています。事業所周辺などの外部への影響を評価検討し、災害時の対応を取り決めています。また、大規模災害時に複数拠点や複数プラントで同時に事故が発生するケースを想定した訓練などを行い、緊急時の体制整備に努めています。
高圧ガス設備の耐震対応
三菱ケミカルは、溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽および耐震設計上重要な高圧ガス設備について、耐震設計基準に基づく耐震性能の評価を行い、対策が必要なものについて改善計画を立案し、耐震対策を進めています。
- 溶接構造の鋼管ブレースを有する球形貯槽
耐震対策が必要な9基について耐震対策を完了しました。 - 耐震設計上の重要な高圧ガス設備
耐震対策が必要な28基について耐震対策を完了しました。