CFOメッセージ

2023年 9月発行 KAITEKIレポート2023より

中平 優子の写真

成長投資と負債の削減、株主還元をバランスよく行い、
グループ一丸となって計画を達成します

執行役エグゼクティブバイスプレジデント
最高財務責任者(CFO)

中平 優子

厳しい事業環境下でも全方位・最大限の施策を実行

2022年度は、原燃料価格の上昇や需要の低下により、非常に厳しい事業環境でしたが、2021年度に策定した経営方針「Forging the future 未来を拓く」の実行に向けて、まずは足元のビジネスを守ることを第一に全社で価格転嫁、コスト削減を進めました。加えて、2022年度第1四半期決算においてフリー・キャッシュ・フローがマイナスであったことに強い危機感を抱き、運転資金の削減にも注力しました。
一方、市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスした事業のポートフォリオ改革として、溶融繊維やアクリル繊維事業からの撤退、MMAの英国工場閉鎖、新型コロナウイルスワクチンを開発していたMedicago Inc.の清算、Muse細胞を用いた再生医療等製品の開発中止といった、さまざまな困難かつ重要な意思決定を行いました。「One Company, One Team」として、全てのファンクションにおいてグローバルな組織とオペレーション機能の一本化を図り、全てのビジネスを対象にビジネスレビューを共通化しました。加えて、スリム化した組織体制の確立に向けて関係会社を625社から593社へと32社削減しました。
最終的な業績は、多発性硬化症治療剤「ジレニア」のロイヤリティに係る仲裁判断の結果を受けて収益を認識したことに伴い、コア営業利益が3,256億円、親会社の所有者に帰属する当期利益が961億円、フリー・キャッシュ・フローも期末では1,076億円とプラスで終えることができました。一方で、設備投資には例年並みの2,800億円以上を計上しており、研究開発費も1,500億円規模を維持するなど成長に必要な投資も実行できています。
このようにグループ全体で全方位的に施策を実行し、ネットD/Eレシオも1.33倍と有利子負債比率を減らすことができました。2022年度の配当については前年度と同額の30円となり、厳しい環境下ではありましたが、来たる需要回復期にさらなるパフォーマンスをしっかりと発揮できるよう備えました。

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経営方針に基づく実行計画の達成に向けて
コスト削減を積み増し、ROIC向上をめざす

三菱ケミカルグループの現状のROICは5%強と、私たちがめざす世界をリードするスペシャリティマテリアルグループとしてはまだまだ低い水準にあります。当社グループとして2025年度にROIC約7%の達成を目標としていますが、この目標はあくまで通過点です。次の通過点は10%へと、さらに投下資本効率を高めていきます。
2023年2月に発表した経営方針に基づく実行計画では、各ビジネスグループのビジネスモデルと優先課題を考慮しながら、ビジネスグループ別のROIC目標を設定しました。ROICのさらなる向上に向けては、コーポレート部門からデータを示しながら、積極的にビジネスグループに働きかけて各種施策を遂行し、生み出した貴重な資本は将来を牽引する事業に投資していかなければなりません。また、人的資本をはじめとする非財務関連への投資も強化します。
ポートフォリオ改革においては、今後の収益成長への貢献が見込めない事業や当社がベストオーナーでない事業の進退を判断し、その実行の優先度は実際にそこから得られるインパクトと、実現容易性などを考慮して決定していきます。

2025年度に向けた財務目標

グループ目標 (年度) 2021実績 2022実績 2023期初予想 2025目標
売上収益 3兆9,769億円 4兆6,345億円 4兆5,550億円 約3兆3,750億円
コア営業利益 2,723億円 3,256億円 2,500億円 約3,650億円
コア営業利益率 6.80% 7.00% 5.50% 約11%
EBITDA 5,024億円 5,833億円 5,138億円 約6,000億円
EBITDAマージン 12.60% 12.60% 11.30% 約18%
EPS 124.7円 67.6円 68.2円 約143円
財務レバレッジ
(ネット有利子負債/ EBITDA)
4.1x 3.6x 4.1x <3.0x
ROE 13.20% 6.40% 6.00% 約11%
ROIC 4.90% 5.70% 4.10% 約7%
ビジネスグループ別主要目標 スペシャリティマテリアルズ 産業ガス ヘルスケア MMA
EBITDA 2,250億円 2,400億円※1 550億円 550億円
EBITDAマージン 16% 24% 15% 15%
ROIC 10% >6% 3% 7%※2
  • ※1日本酸素ホールディングスの中期経営計画で開示されている幅の中間値を切り上げ
  • ※2米国プラントの大型投資影響を含む。当該投資を除いたROICは9%

実行計画では注力する7市場を特定しましたが、中でもEV/モビリティ、デジタル、食品、メディカルに注力していきます。そこでさらに、市場の魅力度、競合優位性、サステナビリティという3つの観点で注力事業を絞り込みますが、市場の魅力度の判断においては成長性に加えて技術的な強みがあることも重視します。達成目標を定め、それに向けて明確にビジネスのロードマップを描き、短期的な利益創出だけでなく、その先につながる将来的な活動を計画していきます。
コスト構造改革については、2021年度に発表した経営方針において、2025年度までのコスト削減目標として1,000億円を掲げました。2023年度末までにヘルスケアの事業再構築、生産の効率化とサプライチェーンの最適化、調達の最適化などによって800億円超の削減を計画しており、2025年度には当初目標を上回る約1,350億円の削減効果を上げられると考えています。
キャピタル・アロケーションの原資は、2023年度から2025年度の3年間において、2兆1,450億円と見積もります。経営方針の主要施策であるポートフォリオ改革、コスト構造改革、石化・炭素事業のカーブアウト、これら全てを着実に実行することにより原資を稼ぎ出し、オーガニックグロースへの投資に充てるとともに、2021年度と比較して2025年度のEBITDAマージンを13%から18%に改善していきます。

キャピタル・アロケーション
約2兆1450億円 (2023~2025年度) 設備投資 48% 研究開発 18% 負債削減 13% 配当 9% 戦略的資本枠の増加 12%

投資家とのコミュニケーションを重視しTSRを最大化

当社は、企業価値の向上を通して株主価値の向上を図ることを株主還元の基本方針としています。配当については、経営方針に基づく実行計画において、前年度比での配当増加および2025年度の配当性向35%を目標としています。この方針に基づき、2023年度は中間および期末で各1円を増配する予定ですが、TSRを最大化させることが最も重要であると考えています。
資本コストや資本収益性を意識した経営の実現に向け、今後も経営方針の進捗や結果をしっかりと発信し、株主・投資家の皆さまと対話を深めることにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上をめざします。

IR活動方針

MCGでは、国内外の株主・投資家の皆さまとのコミュニケーションにおいて当社を信頼いただき、長期にわたって株式を保有していただけるよう、適切な情報開示に努めるとともに、積極的な対話における建設的な意見を経営陣にフィードバックし経営戦略に反映することで、企業活動に活かしていきます。

株主・投資家とのコミュニケーション実績(2022年度)

IRイベント 対象者 対応者
決算発表時のネットカンファレンス
四半期ごとにCEOが毎回出席し、経営方針の着実な進捗をタイムリーに報告
国内外機関投資家・
アナリスト
CEO、CFO
個別面談 CEO、CFO、IR担当
証券会社主催カンファレンス CFO、IR担当
機能商品戦略説明会(IR Day 2022)★
機能商品の将来成長の実現に向けた事業戦略(製品概要や成長戦略)を株主・投資家の皆さまからのご意見を踏まえて、目標数値とともに事業の責任者が直接説明
CEO、EVP(機能商品所管)
インベスターデイ2023★
経営方針「Forging the future 未来を拓く」に基づく成長や利益率拡大に向けた実行計画と2025年度における財務目標のアップデートを説明
CEO、CFO
トップマネジメントとのスモールミーティング CEO、CFO
社外取締役とのスモールミーティング★
筆頭社外取締役と機関投資家との対話機会を創出し、マネジメントレベルでの意思統一を確認していただく機会とした
筆頭社外取締役
サステナビリティに関するスモールミーティング サステナビリティ推進担当
個人投資家説明会 個人投資家 CFO、コーポレートコミュニケーション本部長
株主総会 個人株主、法人株主 CEO、コーポレート・セクレタリー担当
SR対話 法人株主(議決権行使担当、責任投資・ESG担当) SR担当、IR担当、サステナビリティ推進担当

★印のイベントに参加された株主・投資家の皆さまからは、アンケートで「評価する」「やや評価する」の回答を多くいただきました。

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