食料の安全供給と品質保持に貢献
三菱ケミカル株式会社

関連の深いSDGs
目標 2. 飢餓を終わらせ、食料安全保障及び栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
持続可能な食料供給をめざして
現在、世界では11.3%*の人々が深刻な食料不安に直面しています。その日食べるものがなく、翌日以降の食料確保も不確実な状況にあるのです。
飢餓の背景には、紛争、気候変動、自然災害、経済格差など複雑な要因が絡み合っています。気候変動により干ばつや洪水が頻発し、食料生産に多大な影響を与える一方、新型コロナウイルス感染症の大流行やウクライナ危機による食料価格高騰が、さらに飢餓の拡大を加速させています。
一方で、世界で生産される食品の約3分の1が廃棄されており、この廃棄分は約20億人分の食料に相当します。こうした「食の不均衡」によって、先進国では食品ロスが問題となる一方、途上国では飢餓が深刻化しているのです。
三菱ケミカルグループは、これらの社会課題に対して、食品の風味や品質を長持ちさせる機能を持った素材を開発し、食品の廃棄を抑えることで解決に貢献しています。
これらの取り組みを通じて、世界の食料需給ギャップを縮小し、フードロスを削減することで、「飢餓をゼロに」を目指すSDGsの達成に向けた貢献を続けていきます。
- *出典:UNICEF 「The State of Food Security and Nutrition in the World 2023」
ニチゴーGポリマー™で食品ロス削減と資源循環に貢献
三菱ケミカルが開発した「ニチゴーGポリマー™」は、水溶性やガスバリア性、生分解性に優れたビニルアルコール系樹脂で、食品の風味や品質を長持ちさせるバリア材料として活用されています。この素材は、溶融加工できるとともに、水に溶かしてフィルム上にコーティングできる特長を持ち、乾燥食品用の包装材や生分解性樹脂と組み合わせたバリア包装材などに利用されています。食品ロス削減への貢献が期待されることから、特に欧州での需要が拡大しています。
さらに、「ニチゴーGポリマー™」は、食品包装材の分野で求められるリサイクル性にも対応しています。一般的にポリビニルアルコール(PVOH)は、ポリエチレン系多層包材におけるリサイクル適性が低いとされています。しかし、「ニチゴーGポリマー™ BVE8049P」は、欧州のリサイクル適性評価機関cyclos-HTPの認証を受け、ポリエチレン系多層包材に5wt%以下の含有率で使用する場合、リサイクルが可能であることが証明されました。これにより、食品ロス削減だけでなく、資源循環にも貢献できる素材としての可能性が広がっています。
需要の高まりを受け、三菱ケミカルは2024年10月から岡山事業所に新プラントを稼働し、「ニチゴーGポリマー™」の生産能力を現行の約2倍に増強する予定です。この生産能力拡大により、より多くの高付加価値な機能商品を供給し、持続可能な社会の実現に寄与していきます。

SDGs達成へ向けて
「飢餓をゼロに」というSDGs目標を達成は、世界の食料供給の安定化やフードロス削減、食料の偏在など、多くの解消を目指すものであり、その達成に向けては様々な課題が存在します。しかし、この目標が実現されれば、世界中の人々が基本的な生活の安定を得るだけでなく、健康の増進や社会の持続的な発展に大きく寄与するでしょう。
この困難な課題に対し、三菱ケミカルグループは、ニチゴーGポリマー™をはじめとする技術を通じて、持続可能な食料生産・流通システムの構築に取り組んでいます。私たちは、ソリューションをグローバルに展開することで、飢餓のない社会の実現を目指して挑戦を続けていきます。