2035年のありたい姿を示した経営ビジョン「KAITEKI Vision 35 (KV35)」および「中期経営計画2029」を策定してから1年9か月が経過しました。事業ポートフォリオを明確に定め、今年4月にはビジネスグループの再編を実施。グループ全体で「守り」から「攻め」へと転じる中、各ビジネスグループ長に、事業環境をどう認識し、いかに価値を創出していくのかを聞きました。
コンパウンド事業を統合した目的とは
コンパウンドは、テーラーメイドのような事業です。もともとは、汎用樹脂だけでは機能が足りないというお客さまのニーズから生まれました。しかし、当社のコンパウンド事業は、炭素繊維やポリオレフィン、エンジニアリングプラスチックなどコンパウンド事業が上流の素材ごとに分散していました。一方で、世界では、コンパウンド事業を一つの事業としてまとめ、上流の素材に縛られず、顧客のニーズそのものに応える企業が増えています。そこで、KV35の策定を機に統合を検討し、2026年4月から一つのビジネスグループとなりました。狙いは、お客さまのニーズにワンストップで応えられる体制をつくることです。私はよく「スーツだけでなく、ジャケットやワイシャツにも応える」と例えるのですが、自分たちが扱う素材の枠を超えて、お客さまの声を起点に最適な提案を行い、開発パイプラインを広げていきたいと考えています。
競争優位性と高収益の源泉は
コンパウンド事業の強みを説明するのは簡単ではないと思っています。設備も特別なものではありませんし、原料も誰でも購入できます。製品を分析すれば、どのような材料が使われているかもある程度分かります。配合、混練、品質評価、成形、用途開発といった技術を一つずつ取り出せば、他社にも模倣し得るものです。しかし実際には、どの原料をどう配合するのか、どの順番で混ぜるのか、どのように品質を評価するのか、さらにお客さまがどう成形し、どの用途で使うのかまで含めたノウハウが必要になります。一つひとつは模倣できても、それらすべてを組み合わせて事業として成立させることは容易ではありません。
重要なのは、その組み合わせにいち早く気づき、お客さまと一緒に市場をつくり、それを標準にしていくことです。私たちはそれを「デファクト」と呼んでいます。ひとたびデファクトになれば容易には置き換わらず、高い収益性を長く維持できます。大小さまざまなデファクトの商売を数多く持っていること。それがこの事業の強みだと思っています。
例えば自動車のエアバッグカバー材では、開発段階からお客さまと一体となって最適な設計・成形を作り込み、業界標準へと育て上げてきました。その結果、事業開始から30年以上経過した今でも世界シェアは50%超を維持しています。また、この事業は大規模な設備を要さない事業でもあります。知恵やノウハウを積み重ねながら、比較的コンパクトなアセットで事業を展開しています。だからこそ、一度デファクトになれば競合が入り込みにくく、高い収益性を維持できる要因になっています。
重要なのは、その組み合わせにいち早く気づき、お客さまと一緒に市場をつくり、それを標準にしていくことです。私たちはそれを「デファクト」と呼んでいます。ひとたびデファクトになれば容易には置き換わらず、高い収益性を長く維持できます。大小さまざまなデファクトの商売を数多く持っていること。それがこの事業の強みだと思っています。
例えば自動車のエアバッグカバー材では、開発段階からお客さまと一体となって最適な設計・成形を作り込み、業界標準へと育て上げてきました。その結果、事業開始から30年以上経過した今でも世界シェアは50%超を維持しています。また、この事業は大規模な設備を要さない事業でもあります。知恵やノウハウを積み重ねながら、比較的コンパクトなアセットで事業を展開しています。だからこそ、一度デファクトになれば競合が入り込みにくく、高い収益性を維持できる要因になっています。
成長戦略とコミットメント
この数年、私たちは価格の適正化や不採算領域の見直し、コスト構造の改善を徹底してきました。その結果、収益基盤は大きく強化されたと思っています。ここからはトップラインを伸ばす「攻め」の段階です。
その中で重要なのは、成長市場をいかに取り込むかです。これまでは日本・北米・欧州が中心でしたが、今はEVの普及を背景に中国やインドの存在感が大きくなっています。中国では実績のある事業を足がかりに横展開を進め、インドでも自動車メーカー向けのビジネス拡大を目指します。
また、私たちは市場の変化を好機と捉えています。EVの普及によって材料に求められる性能は変わってきていますし、医療分野やデータセンターなど新たな市場も広がっています。そうした変化の中から新たなニーズを見つけ、事業機会につなげていきたいと考えています。
これを支えるのが、日本・中国・APAC・欧州・米州のリージョン体制です。お客さまの声は現場にあります。地域で聞いたニーズに地域で素早く応えるため、各リージョンに権限を委譲し、意思決定のスピード向上を図っています。
また、今後はデジタルも積極的に活用していきます。デジタルマーケティングとパイプライン管理の高度化により、お客さまのニーズや市場の変化を効率的に把握し、新たな事業機会の創出につなげていきます。
市場の変化が起こるところには新しい機会があります。そうした変化をいち早く捉え、大小さまざまなデファクトを一つずつ積み重ねることで、高い収益性を保ちながら着実な成長につなげていきたいと思っています。
その中で重要なのは、成長市場をいかに取り込むかです。これまでは日本・北米・欧州が中心でしたが、今はEVの普及を背景に中国やインドの存在感が大きくなっています。中国では実績のある事業を足がかりに横展開を進め、インドでも自動車メーカー向けのビジネス拡大を目指します。
また、私たちは市場の変化を好機と捉えています。EVの普及によって材料に求められる性能は変わってきていますし、医療分野やデータセンターなど新たな市場も広がっています。そうした変化の中から新たなニーズを見つけ、事業機会につなげていきたいと考えています。
これを支えるのが、日本・中国・APAC・欧州・米州のリージョン体制です。お客さまの声は現場にあります。地域で聞いたニーズに地域で素早く応えるため、各リージョンに権限を委譲し、意思決定のスピード向上を図っています。
また、今後はデジタルも積極的に活用していきます。デジタルマーケティングとパイプライン管理の高度化により、お客さまのニーズや市場の変化を効率的に把握し、新たな事業機会の創出につなげていきます。
市場の変化が起こるところには新しい機会があります。そうした変化をいち早く捉え、大小さまざまなデファクトを一つずつ積み重ねることで、高い収益性を保ちながら着実な成長につなげていきたいと思っています。
【略歴】
1993年、三菱油化(現・三菱ケミカル)に入社。主に営業職として機能性ポリマーや熱可塑性エラストマー(TPE)などのパフォーマンスポリマーズ事業に従事。2007年、Mitsubishi Chemical Performance Polymers(米国)へ赴任し、2014年にはAdvanced Plastics Compounds Singapore取締役社長としてグローバルな事業運営を経験。2018年に、パフォーマンスポリマーズ本部グローバル事業室長、2021年にパフォーマンスポリマーズセクター長、2023年にスペシャリティマテリアルズビジネスグループ日本本部長、2024年よりアドバンストフィルムズ&ポリマーズ統括本部事業戦略本部長を歴任。2025年12月、コンパウンド事業統合準備室長として事業統合を主導し、2026年4月より執行役員(ポリマーコンパウンズ所管)として現職。