フィルムズ&パフォーマンスマテリアルズBG長メッセージ

代替困難な存在であり続け、複合的価値で企業価値向上をめざす
三菱ケミカル株式会社
常務執行役員
フィルムズ&パフォーマンスマテリアルズ所管
江川 洋介

2026年9月掲載
*BG長はビジネスグループ長の略称です。
*本記事の内容、所属、役職等は取材当時のものです。

2026年9月掲載
*BG長はビジネスグループ長の略称です。
*本記事の内容、所属、役職等は取材当時のものです。

2035年のありたい姿を示した経営ビジョン「KAITEKI Vision 35(KV35)」および「中期経営計画2029」を策定してから1年9か月が経過しました。事業ポートフォリオを明確に定め、今年4月にはビジネスグループの再編を実施。グループ全体で「守り」から「攻め」へと転じる中、各ビジネスグループ長に、事業環境をどう認識し、いかに価値を創出していくのかを聞きました。

価格政策や構造改革を進めた2年間でした

世界的に景気は低調で、厳しい事業環境が続きましたが、当ビジネスグループの製品は中間材料として生活に不可欠なアイテムに使用されており、需要は底堅く推移しました。足元では、高機能フィルムはAI関連・ディスプレイ用途が堅調で、ポリマーではエチレン・ビニルアルコール共重合樹脂「ソアノール™」が収益を支えています。
こうした環境下で私が重視してきたのは、価格適正化とポートフォリオ改革です。当ビジネスの多くは、顧客ニーズに応じて標準品をカスタマイズし、付加価値を生み出しています。そのため、価値に応じて適正な対価を得ることが極めて重要です。この2年間は、「価値に基づく価格設定」へと社内の意識改革を行い、お客さまへの丁寧な説明を徹底し、価格の適正化を進めてきました。同時に、市場から十分な評価が得られない事業については、収益性・将来性の観点から見極め、ベストオーナーへの移管や撤退を実行しました。その結果、トップラインは一時的に縮小したものの、収益性と資本効率は着実に改善しました。2025年度はソアノール™関連の減損損失の影響もありましたが、2026年度以降「攻め」の局面へ転じるための基盤は整ったと考えています。

ビジネスグループの再編でフィルム事業とフード&ヘルスケア事業が一体となりました

今回の再編は、ビジネスモデルの共通性を軸に、グループとしての価値創出力を高めるために行ったものです。フィルム、ポリマー、フード&ヘルスケアはいずれも、顧客ニーズを起点に製品をカスタマイズするという共通点があり、連携によるシナジーを発揮しやすい構造だと捉えています。大きな変化は、Tier1(1次サプライヤー)とつながるフード&ヘルスケアの接点を、フィルムやポリマーの提案に活用できるようになった点です。これにより、ブランドオーナーの潜在的なニーズや本質的課題にアプローチできるようになりました。また、フード&ヘルスケアにとってもコンバーティング会社などへのチャネルの広がりが期待でき、グループ全体でサプライチェーンを網羅した提案が可能になると考えています。
加えて、KV 35で掲げた注力事業領域に対してもビジネスグループ一体で価値を提供できる体制となりました。例えば「食の品質保持」では、食品添加剤、バリア樹脂、フィルムなど、複数の機能・技術を横断的に組み合わせることで、包括的なソリューション提供が可能となっています。

KV35実現に向けた戦略とコミットメント

構造改革を経て、ここからは成長フェーズへと移行し、トップラインとボトムラインの双方を引き上げていきます。
当ビジネスグループの競争優位性は、複数の強みを掛け合わせ、複合的な価値を創出できる点にあります。その基盤はプロフェッショナル人材であり、それぞれが他社に勝る専門性を発揮し連携することで、組織としての競争優位と価値創出を実現します。
スペシャリティマテリアルズを掲げる以上、私たちの存在価値は、マーケットの中でいかに特別な存在であるかにあります。市場や社会にとって不可欠で、代替困難な存在であり続けること――それが、私たちのミッションです。その実現に向け、ビジネスの進め方も進化させます。顧客ニーズへの対応だけでなく、市場の潜在ニーズを捉え、顧客に先んじて価値提案を行い、新たな価値を共創していくことが重要です。そのため、データを活用したマーケティング機能の強化と最適な人材配置を進めています。
さらに、変化する市場に身をおいて新たな機会を捉え続けることも重要です。これまでも事業ポートフォリオを進化させてきましたが、今後も成長する市場に集中しながら、価値創出の高度化を図っていきます。
2025年度は、英国におけるソアノール™の投資計画を見直し、固定資産関連で減損を計上しました。責任者として非常に重く受け止め、同様の事象を繰り返さないようにゲート管理やガバナンス強化に取り組んでいます。事業をより良い状態で次世代に引き継ぐことが私の責任であり、継続的な成長を通じて企業価値の向上を実現していきます。

【略歴】
1989年、三菱樹脂(現・三菱ケミカル)に入社。機能フィルムの研究開発に従事し、以降、主にフィルム事業に携わる。フィルム事業部GM、経営企画部GMを経て、フィルム事業部長、食品包装事業部長、包装フィルム本部長等を歴任し、2018年より執行役員として高機能フィルム事業を統括。2024年4月、三菱ケミカルグループ 執行役員アドバンストフィルムズ&ポリマーズ統括本部長に就任し、2025年4月より三菱ケミカル 常務執行役員としてアドバンストフィルムズ&ポリマーズを所管。組織再編により2026年4月より現職。

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