2035年のありたい姿を示した経営ビジョン「KAITEKI Vision 35(KV35)」および「中期経営計画2029」を策定してから1年9か月が経過しました。事業ポートフォリオを明確に定め、今年4月にはビジネスグループの再編を実施。グループ全体で「守り」から「攻め」へと転じる中、各ビジネスグループ長に、事業環境をどう認識し、いかに価値を創出していくのかを聞きました。
KV35の進捗状況は
コンポジット&シェイプスでは、近年、中国や韓国企業の参入により収益性が悪化し、厳しい事業環境が続いてきました。こうした状況を踏まえ、収益改善に向けて抜本的に構造改革を断行し、過去2年間で炭素繊維・コンポジットチェーンとエンジニアリングシェイプスの双方において多数の拠点の統廃合および合理化を進めるとともに、車載向け圧力容器やエネルギー分野の風力タービン向けなど、一部市場からの撤退も実施してきました。また、価格マネジメントの規律を徹底するとともに、適正な価値が認められる市場に経営資源を集中し、当社の強みを発揮できる高付加価値市場での成長を重視した事業運営へと舵を切っています。2025年度末時点で、事業再編の進捗は約8割に達しており、黒字化も実現しています。
反転攻勢の方策は
炭素繊維・コンポジットは、金属代替による軽量化ニーズを背景に、今後も成長が期待できる素材です。航空分野やEV化が進む自動車分野はもちろん、宇宙・通信分野でも、耐熱性向上による技術的ブレークスルーが期待されています。こうした需要に応えるため、単に材料を供給するだけでなく、お客さまとの連携を一層深め、より高付加価値なソリューションを包括的に提供する事業モデルへと転換を進めています。
私たちの強みの1つが、欧州、北米、アジアを中心に売上の8割以上を海外で計上するグローバルな事業基盤です。特に炭素繊維・コンポジットでは、炭素繊維から複合材料、CFRP成型品まで含めた一貫したバリューチェーンを保有していることが当社の大きな競争力です。サプライチェーン全体を俯瞰し、各工程を深く理解しているため、中間製品も含めた各工程の最適化を進め、お客さまにとっての生産性向上や製造リードタイム短縮、さらには最終製品の性能向上に貢献することができます。
その一例が、当社独自の複合材料として開発した熱硬化性樹脂です。高速硬化の実現によりお客さまのサイクルタイム短縮に寄与する技術であり、モビリティ分野での競争力強化にもつながっています。さらに、自動車のボディーパネル向けに改良を重ね、高度な加工技術が強みのC.P.C.(イタリア)の大型プレス成型機を活用して、Zoox社のロボタクシー向け部品の量産立ち上げを進めています。ロボタクシー市場は米国を中心に実証が進んでおり、今後の成長が期待されています。
私たちの強みの1つが、欧州、北米、アジアを中心に売上の8割以上を海外で計上するグローバルな事業基盤です。特に炭素繊維・コンポジットでは、炭素繊維から複合材料、CFRP成型品まで含めた一貫したバリューチェーンを保有していることが当社の大きな競争力です。サプライチェーン全体を俯瞰し、各工程を深く理解しているため、中間製品も含めた各工程の最適化を進め、お客さまにとっての生産性向上や製造リードタイム短縮、さらには最終製品の性能向上に貢献することができます。
その一例が、当社独自の複合材料として開発した熱硬化性樹脂です。高速硬化の実現によりお客さまのサイクルタイム短縮に寄与する技術であり、モビリティ分野での競争力強化にもつながっています。さらに、自動車のボディーパネル向けに改良を重ね、高度な加工技術が強みのC.P.C.(イタリア)の大型プレス成型機を活用して、Zoox社のロボタクシー向け部品の量産立ち上げを進めています。ロボタクシー市場は米国を中心に実証が進んでおり、今後の成長が期待されています。
今後の事業戦略
今後3~5年で年平均8~10%の成長が見込まれるモビリティ、半導体、メディカル、エネルギー、宇宙・通信の各分野の中でも、需要が見込まれ、当社が競争優位を発揮できる「Right to Win(勝てる領域)」に経営資源を集中していきます。具体的には、ロボタクシー関連をはじめ、世界有数の半導体製造装置メーカー向けエンジニアリングプラスチック部材、原子力発電における放射線の遮蔽・封じ込めに資する材料、医療用インプラントや人工関節向け材料などを重点領域として取り組んでいきます。特に半導体分野は、エンジニアリングシェイプスにおける最も成熟した市場の一つです。耐熱性や剛性、寸法安定性が求められる用途において、長年にわたり世界有数の半導体製造装置メーカーと協業してきた実績を有しています。
事業戦略の柱は4つあります。まず、お客さまとの共同開発を加速し、新たなソリューションを創出していくことです。次に製品ポートフォリオの見直しや自動化の推進などを通じた競争力の向上です。さらに、お客さまの要件に的確に応える研究開発を強化し、明確な基準のもとで開発テーマを管理していきます。加えて、サステナビリティを重要な経営課題と位置づけ、再生可能エネルギーの活用拡大などを通じて持続可能な事業運営を進めていきます。
また、営業・マーケティングのあり方の変革も不可欠です。これまでの製品起点のアプローチに加え、お客さまや市場のニーズを起点とする「Market-facing Organization(市場志向型組織)」への転換を進めていきます。市場や顧客の変化をいち早く捉え、新たな事業機会の創出につなげることで成長を加速していきます。
事業戦略の柱は4つあります。まず、お客さまとの共同開発を加速し、新たなソリューションを創出していくことです。次に製品ポートフォリオの見直しや自動化の推進などを通じた競争力の向上です。さらに、お客さまの要件に的確に応える研究開発を強化し、明確な基準のもとで開発テーマを管理していきます。加えて、サステナビリティを重要な経営課題と位置づけ、再生可能エネルギーの活用拡大などを通じて持続可能な事業運営を進めていきます。
また、営業・マーケティングのあり方の変革も不可欠です。これまでの製品起点のアプローチに加え、お客さまや市場のニーズを起点とする「Market-facing Organization(市場志向型組織)」への転換を進めていきます。市場や顧客の変化をいち早く捉え、新たな事業機会の創出につなげることで成長を加速していきます。
組織運営に向けたコミットメント
私が最も重要な経営資本だと考えているのは人材です。どれほど優れた戦略や戦術があっても、それを実行し、成果につなげる人材とリーダーシップがなければ事業は前に進みません。組織を持続的に成長させるためには、経験に裏打ちされた知見を持つ人材と、新しい視点や発想を持つ人材をバランスよく組み合わせることが重要です。そのため、社内人材の育成に加え、外部から新たな知見や経験を持つ人材を積極的に迎え入れることにも力を入れています。また、グローバルに事業を展開する当ビジネスグループにとって、多様なバックグラウンドを持つ人材が活躍できる組織づくりも重要です。多様な人材がそれぞれの強みを発揮しながら挑戦できる組織を構築することで、持続的な成長と新たな価値創造につなげていきます。
【略歴】
1988年、仏Valeo社に入社。自動車部品分野の品質管理技術者としてキャリアをスタート。欧州化学・材料メーカーで、自動車・高機能材料分野の研究開発、営業・マーケティング、事業運営に携わる。2013年、三菱ケミカルに入社。ポリマーコンパウンズ事業のプロダクトマネージャー、中国・東南アジア・日本における事業責任者、パフォーマンスポリマーズ本部長を経て、2024年より三菱ケミカルグループ 執行役員 アドバンストコンポジット&シェイプス統括本部長に就任。2025年4月より三菱ケミカル 執行役員としてアドバンストコンポジット&シェイプスを所管。組織再編により2026年4月より現職。