AIサーバーや次世代半導体デバイスに不可欠な「熱マネジメント」の事業化に向けたBoston Materials社への戦略的追加投資について
2025/12/10 その他
三菱ケミカルグループ株式会社(本社: 東京都千代田区、社長: 筑本学)は、コーポレートベンチャーキャピタル子会社のDiamond Edge Ventures, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:カーティス・シックナー)を通じて、Boston Materials社(所在地:米国マサチューセッツ州、CEO:アンヴェシュ・グリジャラ)に戦略的追加投資を実施しました。この追加投資によりBoston Materials社との関係をさらに強化し、高性能コンピューティング・AIサーバー・次世代半導体デバイス向け先進熱界面材料(TIM)※1の共同開発と事業化に向けた協業を開始します。
Boston Materials社は、炭素繊維を垂直方向に配列し、独自の液体金属合金と組み合わせることで、過酷なデータセンター環境においても高い熱伝導性と信頼性を実現する基盤技術を開発しています。同社の技術は、AIやクラウドインフラ向けの高容量・高周波半導体デバイスの性能向上に寄与し、次世代半導体デバイスに不可欠な熱マネジメントシステム※2を実現します。
今回の戦略的追加投資により、Boston Materials社の熱マネジメント基盤技術と、三菱ケミカルグループ※3の炭素繊維・PETフィルム・コーティング・先進材料試験等の技術を組み合わせることで、高付加価値分野におけるTIMの開発を加速します。また、三菱ケミカルグループの研究開発施設や事業ノウハウを活用することで、特にアジア地域における顧客開拓やアプリケーション開発を強化します。
・Boston Materials社の創業者でありCEOアンヴェシュ・グリジャラ氏のコメント:
「AIインフラは従来の材料技術が追いつけない速度で進化しています。熱マネジメントは今や性能と信頼性を左右する決定的要因の一つであり、当社の技術を活用したLiquid Metal ZRT®はまさにこの課題解決のために設計されました。三菱ケミカルグループとの提携により、世界トップクラスの材料技術とグローバルな事業基盤を活用し、次世代TIMの開発を加速します」
・Diamond Edge VenturesのCEOカーティス・シックナー氏のコメント:
「熱マネジメントは、先進的な半導体デバイスにおける最重要課題の一つです。現行材料と市場が求める性能とのギャップは拡大し続けています。その課題に対し、Boston Materials社は独自のアプローチを有しており、今回の当社の投資は、長期的かつ深い技術パートナーシップの始まりを意味します。両社は協力して次世代TIMの開発を加速し、データセンターやAIコンピューティング性能の限界に挑む顧客を支援していきます。」
三菱ケミカルグループは経営ビジョン「KAITEKI Vision 35」において、「データ処理と通信の高度化」を注力事業領域のひとつに位置づけています。今回の戦略的追加出資と協業により、半導体・通信分野におけるソリューション提供を加速していきます。
※1 高熱伝導性サーマルインターフェイスマテリアル
※2 動作時に発生する熱を効率的に制御・分散・排出するための仕組みや技術
※3 三菱ケミカルグループは、三菱ケミカルグループ株式会社とそのグループ会社の総称です