有胞子性乳酸菌プロバイオティクスの腸内環境改善と肌状態の改善効果を確認
2024/08/28 その他
三菱ケミカルグループは、有胞子性乳酸菌プロバイオティクスであるヘンドリクシア(旧名:ワイツマニア、バチラス)・コアグランス(Heyndrickxia coagulans SANK70258)※1(以下「H・コアグランス」)についてヒト臨床試験を行い、腸内腐敗産物と腸内終末糖化産物を低減し、肌の状態を改善する効果があることを確認しました。この研究成果は2024年7月25日『Nutrition』誌に掲載されました。※2
腸内では、腸内細菌によってさまざまな物質が産生されています。腸内腐敗産物として産生されるフェノール類は、血液を介して肌まで届き、肌のターンオーバーを阻害して肌荒れの原因になると報告されています。また、腸内でタンパク質と糖が体温で加熱されて産生されるAGE(終末糖化産物)は、全身に循環・蓄積することで肌の老化を引き起こすとされています。
したがって、腸内環境を改善することは肌の状態を健康に保ち、肌荒れの予防につながると考えられています。
H・コアグランスは、一般的な乳酸菌とは異なり、胞子を形成するため酸や熱に強く、菌が死滅せずに腸で発芽して増殖するという特性を持つ乳酸菌で、これまで便通改善や免疫機能調節などの機能性を確認しております。今回30~64歳の日本人女性80名を対象に、H・コアグランスを10億個以上含むカプセル単独を摂取することで、腸内環境改善と肌に対する機能性検証に関するヒト臨床試験を行いました。
その結果、H・コアグランスを摂取していない人と比べ、以下の改善が認められました。
- 腸内腐敗産物の1つであるフェノールの低減
- 腸内の代表的なAGEであるカルボキシメチルリジン(以下「CML」)の低減
- 腸内のフェノールの産生菌、CML産生関与菌の低減
- 肌の「明るさ」※3の向上
- 額における肌の鱗屑(乾燥した角質)の低減
これらのことから、H・コアグランスを摂取することによって、腸内細菌叢の変化を介して腸内環境が改善され、肌の明るさや肌の健康維持に影響している可能性が示唆されました。
※1ヘンドリクシア・コアグランス(Heyndrickxia coagulans SANK70258)
1949年に中山大樹博士(山梨大学名誉教授)が発見した有胞子性乳酸菌であり、長年にわたりプロバイオティクスとして使われている。胃酸で死なず、⽣きたまま腸まで届くという特性を持ち、腸内代謝機能の制御、腸内感染症の抑制傾向、免疫賦活作用と過剰な炎症の抑制効果などさまざまな機能が確認されている。
※2論文情報
タイトル:Improvement of skin condition and intestinal microbiota via Heyndrickxia coagulans SANK70258 intake: A placebo-controlled, randomized, double-blind, parallel-group comparative study
著者名:外川 直之、山田 良一、青木 由典、末廣 祥平、内田 典芳、長谷田 茜、勝山 豊代、本間 直幸、西平 順
雑誌名:『Nutrition』https://doi.org/10.1016/j.nut.2024.112533
※3分光測色計 (コニカミノルタ株式会社のCM-700d)を用いて肌色を測定しています。