モビリティの変革と環境規制を支える、横断的ソリューション

モビリティの変革と環境規制を支える、
横断的ソリューション

2026.08.05
 / TEXT BY MCG
※本記事の内容は取材当時のものです。

三菱ケミカルグループは総合化学メーカーとして、電動化や環境規制対応に伴う車両要件の変化に対し、多様な素材でモビリティの横断的なソリューションを展開しています。

モビリティの進化を支えるトータルソリューション

電動化や自動運転の進展により、車両構造や車内空間のあり方は大きく変わろうとしています。 一方で、欧州を中心とした環境規制の強化により、材料選択のあり方も大きな転換点を迎えています。三菱ケミカルグループは、経営ビジョン「KAITEKI Vision 35(KV35)」において「環境対応に伴うモビリティの進化を素材で支える」をモビリティ事業領域のビジョンに掲げ、 グループが持つ多様な素材や技術をつなぐことで、樹脂化・金属代替による軽量化、コスト低減、リサイクル性など、さまざまな課題に対してお客様にトータルソリューションとして提案しています。

本記事では、『人とくるまのテクノロジー展 2026』で紹介した50以上の素材や技術の中から、次世代モビリティを支える代表的なソリューションを紹介します。

欧州ELV規則に応えるマテリアルリサイクルPP『NOVAORBIS™-MR』

課題・背景 自動車業界では「易解体・易リサイクル性の向上」が注視されています。その背景には、2026年6月に欧州議会で採択されたELV(End-of-Life Vehicles:使用済み自動車)規則があります。「再生プラスチックの利用率」においては、新車への再生材導入が義務化され、施行後6年で15%、10年で25%という目標が導入される予定です。

担当者が語るポイント 日本ポリプロが提供する『NOVAORBIS™-MR』は、マテリアルリサイクルPP(ポリプロピレン)でありながら、バージン材と同等レベルの物性を実現し、自動車用途に求められる高い基準を満たす製品です。バンパー、インストルメントパネルなどの用途に応じた複数のラインナップを展開しています。

展示会来場者からは、業界団体の目標値に適合したマテリアルリサイクル材である点が強く響いたとの声をいただきました。

NOVAORBIS™-MRの記事はこちら
https://www.mcgc.com/kaiteki_solution_center/oursolution/28.html

NOVAORBIS™-MR

欧州ELV規則への対応を支える加飾フィルム向けPP(ポリプロピレン)

課題・背景 欧州ELV規則への対応を背景に、塗装工程の削減や、使用素材を単一化する「モノマテリアル化」が重要なテーマとなっています。

担当者が語るポイント 加飾フィルムPPは、自動車部品で広く使用されるPP部材に貼り合わせることで、塗装品のような高意匠外観を実現する製品です。自動車では、バンパーやフェンダーなどの外装部品に加え、内装部品への適用も想定しています。部材と加飾フィルムの素材をともにPPとすることで易リサイクル性を考慮したモノマテリアル化を実現します。また、加飾フィルムPPは熱融着により部材へ接着するため、接着剤を使用せずに加飾することができ、塗装工程の削減も実現することができます。

従来の加飾フィルムではアクリル樹脂やABS樹脂などが主流でしたが、日本ポリプロが開発したメタロセン系高溶融張力ポリプロピレン『ウェイマックス™』の使用により、PPでも優れた熱成形性を実現しています。

主な特徴は以下の2点です。
①大型部材や複雑形状に対する加飾成形が可能である
②着色だけでなくフィルムならではの意匠表現(印刷・エンボス等)により、デザイン自由度を拡大できる

来場者からは「技術的に優れている」との評価をいただくとともに、導入を意識した具体的な質問が多く寄せられました。

  • 欧州ELV規則への対応を支える加飾フィルム向けPP

EVの進化を支える軽量・難燃素材

課題・背景 EV(電気自動車)の普及に伴い、走行可能距離の向上に直結する車両軽量化の重要性が高まっています。このため、金属部材の一部を樹脂へ置き換える動きが進んでいます。一方、特にバッテリー周辺部材には高い安全性も求められます。そのため、自動車業界では軽量化と安全性の両立が重要な開発テーマとなっています。

難燃ファンクスター™ 担当者が語るポイント 日本ポリプロが独自の技術により開発した高性能な長ガラス繊維強化樹脂である『ファンクスター™』に難燃配合設計技術を組み合わせることで、強度を維持しながら高い難燃性を付与した製品です。

主な特徴は以下の3点です。
①高い強度と難燃性を実現し、安全性の確保に貢献する
②金属代替による軽量化を通じて、EVのエネルギー効率の向上に貢献する
③バッテリー形状に合わせた自由な成形が可能

主要用途としてはEVの電池モジュールケースなどが想定されています。

GMTeFR™(遮炎GMT) 担当者が語るポイント 三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズの『GMTeFR™(遮炎GMT)』は、EVバッテリーの熱暴走時の安全性に対応するために開発された材料です。電池モジュールカバーや、電池モジュールを含むバッテリー部全体を収納するバッテリーケースに採用・検討されています。

主な特徴は以下の3つです。
①金属代替により軽量化を実現し、難燃性能も持ち合わせている
②金属製より断熱性が高く、電池の熱マネジメントの効率化によって急速充電性や電池の寿命向上が期待できる
③使用済みバッテリーケースの再成形によるクローズドループリサイクルが可能で、ラボ試験では、初期性能を高いレベルで維持できる可能性を確認している

この技術は、三菱ケミカルグループが持つ繊維・樹脂・バッテリー関連技術を組み合わせることで実現したもので、強度、軽量性、加工性のバランスを実現し、将来のマテリアルリサイクルへの対応も考慮したソリューションとして提案されています。

来場者からも、難燃性を維持しながら将来的なマテリアルリサイクル性を考慮して設計されている点が注目されました。

GMTeFR™(遮炎GMT)の記事はこちら
https://www.mcgc.com/kaiteki_solution_center/oursolution/29.html

難燃ファンクスター™

次世代モビリティの快適空間を支える『テファブロック™ QEシリーズ』

課題・背景 快適な車内空間の実現は現在の自動車においても重要なテーマですが、自動運転技術の進展により、車内で過ごす時間の価値はさらに高まると考えられています。車内で仕事やエンターテインメントを楽しむ機会が増え、将来的にはリビングのような快適性が求められるなか、内装素材には快適な触感や静音性、さらにリサイクル性への対応も求められています。

担当者が語るポイント 『テファブロック™ QEシリーズ』は、アームレストやコンソールボックス、インパネ部分パッド、アシストグリップなどの自動車内装部品に採用されています。

特徴は以下の2点です。
①耐摩耗性、耐傷付き性、耐油性に優れながら、しっとり感やさらさら感といった心地よい触感を実現している
②射出成形による部品化が可能で、工程削減によるコスト低減が期待できる

さらに、静音性へのニーズに対しては、音響メタマテリアル遮音・制振シート『Reso-Core™』も注目されています。最適配置された複数の局所共振器により、特定の周波数帯域で優れた防音効果を発揮する点が特徴です。

素材と技術をつなぎ、モビリティの進化に貢献

電動化や環境規制対応に伴って求められる新たなモビリティ。三菱ケミカルグループは、素材の進化とそれらを“つなぐ“力によって、モビリティの進化を支えていきます。

<関連情報>
自動車関連ソリューションの詳細・お問合せはこちら
https://mcc-ams.com/

     

コラム「展示会担当者の声」

展示会は製品PRの場であると同時に、新規顧客との接点となっており、既存顧客はもちろん、これまでお付き合いのなかった新規顧客とのコネクション形成にもつながっています。
今回、『人とくるまのテクノロジー展』では、グループ会社や複数の事業部をまたぎ、それぞれが手掛ける素材・技術を組み合わせた“パッケージ型提案”を前面に押し出した構成としました。来場者が、車のどの部分にどう使われているのかを具体的に理解できるよう展示を行い、「部品や用途ごとにまとめられていて分かりやすい」と高い評価をいただきました。
三菱ケミカルグループでは、複数事業・複数素材をつなぎ、トータルソリューションとして提案を行っています。今後も樹脂化・金属代替による軽量化、コスト低減、リサイクル性など、さまざまな角度から自動車メーカーや部品メーカーに貢献していきます。
人とくるまのテクノロジー展 2026

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